月下星群 
“それが一番大事”B
  



          



 グランドラインに限った話じゃあなく、商業が栄えてる港町はどこであれ、わくわくしちゃう華やかな空気とか、海の上ではそうそうお目にかかれないあれやこれやが一杯あふれてて。よって、ただブラブラと歩き回るだけでも、お祭り見物みたいで楽しいものが。秋の市場の活気はというと、もっと独特のものがあったりし。自慢の畑で穫れたものとか、自慢の目利きで仕入れたものとか。どの店でも胸張って、楽しそうに商売やってるって匂いがして。こっちまで嬉しくなりもすんだのに。………だってのに、
“あ〜あ、だよな。”
 前の島からさほどに日も経ってはなかったけれど。こんなにぎやかで楽しい町並みだっって判っていたなら、あ〜あ、ゾロと歩きたかったな、だなんて。そこだけがちょっと詰まらない、麦ワラ帽子を頭に乗っけた、我らが船長さんだったりしたりして。珍しい置物や、美味しそうなおやつにおかず。キッチン用とか農耕用とか、工作に使うらしいものが使い方がよく判んない形のものも多々ある道具を扱ってる店もあれば、ゾロがいないか覗いてみたのは剣や武具を置いてる店。きらきら綺麗な宝石やそりゃあ細かい透かし彫りの施された装飾品もあれば、風にひらひら可憐にそよぐのは摘まれたてらしいお花たち。そ〜んな色々を、同じもの、見てるよねって。連れと目線を交わして、同じ気持ちを確かめ合うのもまた楽しくて。そんな道行き、したかったかななんて。ちょっとばかりヲトメが入ってるルフィさんなのも、これまた秋の空気のせいだろか。
(う〜ん)

  “けどま、一緒に出て来てても、そのまま一緒に歩けたかどうか、だよな。”

 おおお、言いますね、船長さん。自分だって迷子になる率は結構高いが、彼の場合は止める間もあらばこそ飛び出してく鉄砲玉だから。決して“目指すものへと向かう方角が判らなくなって”ではないから、と。結果を並べりゃ目クソ鼻クソなくせして、俺は方向音痴じゃないし〜〜〜なんて、威張っておられる現金さ。
“大体ゾロはさ。大雑把なのがいけねぇよな。”
 戦いの最中は隙がなくって切れ者だけれど、それとの採算を合わせたいかのように、日頃は ずぼらで怠け者で、縦のものを横にもしなくて。よくルフィのとんちんかんな言いようへ常識人ぶって説教したりもするけれど、ナミに言わせりゃさしてレベルも違わない同士だってことだし…なんて。相手を悪く言って貶めるのに、自分を悪い物差しにって並べてるところの本末転倒さ加減へは、果たして気づいてる船長さんであるのかな?
(苦笑) 大きな眸をわくわくと見張り、見るからにはしゃいでいたものが。物足りないから始まって、しまいには“う〜ん”なんて、柄にもなく考え込んでしまっていたルフィの、その、上の空になりかけていた意識を引き戻してくれたのが、

  「てぇ〜いっ、帰ぇれ帰ぇれっ!」

 突然 沸き立った、誰かの怒号だ。自分へ突き付けられたのかと思えたほどに、腹の底からのものだったその声は、芯がぴんっと張ってて勇ましく。出来心から悪さをしちまったって程度の小悪党なら、叱られたのへと素直に平伏して謝り倒したかもしれなかったほど。ただの声だけだってのに、そりゃあがっつりと頑丈そうな自負あってこその一喝という感があって。
「なんだ?」
 何かしらの見世物だとか。そう、屋台へ客を呼び込むための口上かも、なんて。帰れというフレーズの意味などうっかり忘れて、周囲をキョロキョロ見回し始めたところ、
「…んだと、ごらぁっ!」
 途中から不意に声のテンションを高め、凄みながら叩きつけるような怒号でのお返事が返っており。そんな物言い、普通一般の人間だったらまずはしない。先程の“帰れ”へ対する、これが返答であるのなら、これは間違いなく、
“喧嘩、か?”
 しかも、あんまり柄はよくない手合いが相手の。屋台が並ぶ大通りを少しほど進んでゆけば、同じものへと駆けつけんとしているのだろう人の流れが、先へと見える。物見高そうな、にやついた顔もないではなかったが、心配そうなお顔の方が多くって。大通りから一筋、裏の通りへと入ったすぐの曲がり角に、既に人垣が出来始めてもおり。
「何を偉っそうに言ってるかな、爺さんよォ。」
「俺ら客だぜ? 客。」
 相手もまた、巻き舌でさんざんヨタって柄が悪いそのまんま、腰の強い声を出すのには慣れてるらしいところを見ると。

  「海賊は客なんかじゃねぇっつってんだっ!」

 そんなに背が高い訳でもなければ、恰幅だって…渋うちわを思わせるほどに痩せた体躯を、洗いざらしらしきグレーの作業着の上下でくるんだお年寄りが一人。店の前、堂々と仁王立ちしており。そんな彼と罵声を浴びせ合ってたらしき相手、ルフィよりは何とか年嵩に見えるが、まだ若いのだろう二人の船乗りたちとの間には。元はガラスのコップだったらしいものが、踏み固められた赤土の地べたに砕けてそのまんま、こぼした中身を地面へと吸い込ませているところ。気骨で頑張って、弱いところを見せないで。脅しなんかにゃ屈しないぞ負けないぞと、文字通り、むんっとばかり胸張って立ってらっしゃるお姿は、なかなか堂に入っているものの、
“うあ〜〜、度胸ある爺さんだなぁ。”
 あのルフィがついつい感心したくらい、無謀な反骨にしか見えなくて。だって、
「いやに高飛車じゃねぇか、爺さんよ。」
 こっちの若造たちは全然の全く動じてもいない。腰からすらりと剣を抜くに至っては、騒ぎを起こしたって構やしないと思ってるらしい、つまりは弱いもの相手には自分たちの乱暴さを笠に着るよな、十分に蓮っ葉な手合いであり。周囲に集まった人垣の外側、いかにも地元の方々だろう、普段着姿の顔触れもあるにはあったが、
「だから やめときなっていつも言ってたのにさぁ。」
「頑固一徹だからねぇ。」
 こそこそと、そんな声を交わしているのが、ルフィの居る位置へと届いてくる。どうやら、いつもいつもああいう啖呵を切っては、海賊や柄の悪い船乗りを追い払って来たお爺さんらしかったが、
「これまではほら、そんな恐持ての海賊も来なかったしさ。」
「先週から海軍の方針が変わったからねぇ。」
 これはルフィたちには後から判ったことだったが、沖合での臨検、実はもうちょっと厳しかったそうで。ところが………。

  ――― 何でも、海軍本部やあの司法の島・エニエスロビーを、
       バスターコール込みで翻弄して一蹴したっていう、
       とんでもない海賊がこっちへ向かってるらしくてよ。

 それへの対処で新しい布陣を敷いてでもいたものか、それとも…もしかして。取り逃がしたなんて汚名を受けるのも、痛い目を見せられてしまうのも、どっちの格好ででも関わり合いになるのは御免だと。特別演習だ何だとわざとらしい事情を作り、尻に帆掛けて遠巻きにするよに、担当地域からの敵前逃亡したのかも? そんなこんなで、かなりの隙間だらけになってた警備網を、ルフィたちが擦り抜けたのと同様に、掻いくぐれた荒くれ共がご来島していたというところかと。そういった細かい事情なんてもの、いちいちこだわりがないことも手伝って、この段階ではまるきり判ってなかった船長さんではあったれど、どう見たってお爺さんの側が絶対不利だったこの対峙、
“しょうがねぇな。”
 見ていて気分のいいものでなし、お爺さんの気骨は買うが、体力やら場慣れ度合いやらという点で、色々とハンデキャップも大きいみたいだし。加勢にと出て行こうと仕掛かったところが、

  「交渉決裂したんなら、とっとと交替してくれねぇかな。」

 そんなお声が、ルフィからは遠い、反対側の人垣から聞こえて来た。それで脅してビビらせる効果を狙っての、勢いづいてがなるような、安っぽくもアクの強いダミ声なんかじゃあなく。だってのに、朗々とこっちの端まで届いたのは、腹の据わった強かな声音だったから。
「あ〜ん?」
「誰だ、今のはよ。」
 人垣ん中に隠れての言いたい放題か? せいぜいそんな程度の強がりと決めつけて、既に抜いてあった剣を威嚇も兼ねて ぶんっと振って見せつつ、周囲を睥睨した彼らだったが、

  「この町にゃ、ここの他だと小せぇ店しか酒屋はねぇんだよ。」

 こちとら買い物がしてぇんだと言わんばかり。暴言だの剣だの持ち出されての、棘々しい緊迫感なんて全く眼中にございませんという気配のありありとする言いようがまた、いかにも間延びして聞こえるのと同時、その余裕から…周囲にばらまかれていた険悪そうな空気まで、じんわりと押し返してしまったような。そう、勇気づけという力を出してくれたかのようであり、
「だっ、誰だっ!」
「こそこそと隠れてんじゃねぇよ、腰抜けっ!」
 自信ありげな相手だとは察したか、しかも、見えないからこそ落ち着けず。怯んでさえ見える挙動を振り撒き、きょろきょろ周囲を見回した彼らの前へ、
「こういうベタな登場ってのは、エロコックじゃあるめぇし、あんま好きじゃあないんだがな。」
 参った参ったと、大きな手で後ろ頭を掻きながら、人垣の輪の内側へ、のそりと出て来た青年が一人。それが地毛なら珍しいが、今時はどんな色にでも染められるから。緑ってだけじゃあそんな目立ちもしなかろう短髪に、今日はいつものシャツの上、ゆったりした濃緑の半袖シャツを重ねて着ており。それでもご丁寧に、いつもの腕のバンダナや底厚なワークブーツ、耳に下げたる棒ピアスなんかは変えてない。
「な…何だよ、お前はよ。」
 もっとこう、いかにもむくむくとした肉襦袢体型の、見上げんばかりの大男でも出てくるかと思ったか。だったら拍子抜けだぜと、嘲笑ってやろうとしかかった、片方の船乗りの…でこに巻いてたバンダナが、どこからか飛んで来た“突風”に叩かれ、

  「………え?」

 ひらりぱさりと、足元へ落ちる。頭の後ろの結び目もそのままだったから、すっぽ抜けた…にしては、飛ばされたって落ち方でもなかったが。ついの連動、拾い上げようとしかけた船乗りの手の先で。いつから洗ってないのか、内側と外側の色がすっかり違ってたその鉢巻き、

  ――― すぱりと。

 何か仕掛けがしてあったかのように。間違いなくの落ちてから、ちょうど額に当ててた側の、帯みたいに平らだった部分が…右と左の真っ二つ、ほつれも何もない滑らかさで、寸断されての哀れな末路。結構な大きさの人垣の輪になってもいたから、周囲にいた人々にも十分に、何が起きたのかは見えており、
「…凄げぇ。」
「え?え? でも、あの人、腕組みしたままなのに?」
 確かに腰には3本も刀を下げているが、そのどれへも触った気配はなかったようなと。素人さんには思えたろうが、さにあらん。
“腕組みしてたのは余計だったな。”
 マジん時ならもっと速いのによと。白鞘の和刀、和道一文字が素早く引き抜かれ、偉そうにしていた船乗りの額を、切っ先で軽く撫でてから元の位置へと収まった一部始終。しっかり見届けていたルフィだけが、くすすと小さく笑って見せる。剣なんて持ったこともないような素人さんには、判らなくても仕方がないが、
「ななな、何しやがったっ!」
 少なくとも自分も提げてる得物だ。その切っ先の動きくらい見届けんかいと、怯えながらもまだ食ってかかってくるのはやめない相手へ やや呆れつつ、
「さあな。」
 もう既に関心はないと、面倒そうに言い返し、
「なあ爺さん。何か良い出物はねぇかな。俺、結構強ぇえから、芯のぶっとい辛口がいいんだが。」
 酒屋の店主のお爺さんの方へとお顔を振り向けたゾロへと向けて、

  「こなくそ〜〜〜〜っ!!!」

 もう片方の船乗りが、こちらは鞘を抜き放った小柄
こづかを懐ろに抱え込むようにして。身体ごとの特攻もどき、一気に突っ込んで来やったが、

  「…………何してくれてっかな? ああ"?」

 体はそっぽを向いたまま、腕だけを…相手の低くなってた頭に合わせ、後ろ手に伸ばしてやって。まるで、飛んで来たボールの軌跡が判っていて受け止めたみたいにガッツリと、相手の額、大きな手のひらでようよう掴んで止めてしまったから物凄い。接近は果たせなかったが、だったらそこから。腕だけでも伸ばせば…と、傍からなら思うところだったかも知れないが、

  「…ひっ!」

 先の一言をぼそりと告げて。頼もしい肩越し、ゆるりと振り向いて来たお顔に据わってた双眸の、何とも迫力のあった冷ややかな一瞥の鋭かったことと言ったらもうもう。
『あ、あのまま石になっちまうかと思ったぜっ。』
 逃げ出した後ならいくらでも虚勢を張れるはずが、それさえ出来ず。瞬きするだけでも目の中へ蘇る一瞥の威力に、半日は震えが止まらなかったというほど。そりゃあ恐ろしかったそうな一睨みに震え上がって。
「ひゃあぁぁぁっっ!」
「お、お助け〜〜〜っっ!」
 最初の威容はどこへ行ったか。みっともなくも叫びながら、一目散に逃げ出した連中。見苦しい背中を見送り、呆気に取られたのも束の間のこと。次には、ざまあみろと言わんばかりの快哉の声が上がるやら、何故だかついついの拍手が沸き起こるやら。さっきまでの殺伐としていた緊迫感が一転、お祭り騒ぎみたいに盛り上がってしまったほど。さすがに、剣士さん本人へと話しかけまでするものはおらずで、それでも彼の様子へは注目も集まったままだったところが、

  「お前も海賊なんだろが。」

 ああ。こんの頑固親父が、恩を受けてもその態度かよと。頑迷にも程があるぞと。沸き返ってた人々が、冷え冷えとした水でもぶっかけられたかのように、瞬時にして凍りつき。今度は先程とは微妙に空気の違う、新たな緊張感が場をしんと静まり返らせて。
「…ああ。そうだ。」
 緑頭の剣士さんもまた、さしたる拍子抜けを感じてないものか、あまり変化のない口調でお返事を返せば。
「儂はな、人様が汗水垂らして作った成果を、脅しや暴力でまんまとせしめてく、愚劣な海賊どもが好かんのだ。」
 お爺さんは、さすがに少々うつむいてながら、そんな風に言葉を紡ぎ、
「あんたみたいに、恐らくは途中まで、きちんと道を説かれて修行してたんだろお兄さんでもな。例外を作っちまうと、後々同じことが続けられん。」
 だから…と、一旦、声を途切らせてから。
「あんたに連れはおらんのかな?」
「…連れ?」
 こっくり頷いたお爺さんの、言ってる意味が測りかねたゾロに変わって、

  「はいはいはいっ! 爺さん、俺、そいつの連れだっ!」
  「げっ。ルフィ、何で此処にっ!」

 大きく手を挙げ、元気よく。自分の前にいた人を“ちょいとごめんよ”と掻き分けながら、名乗りを上げた小さな船長。そんなルフィを小さく笑って見やりつつ、

  「海賊には売りたくないが、あっちの坊主には売ってやってもええぞ?」

 そうと言って下さったお爺さんには、やっとのこと、ゾロにも真意が通じたようであり。ポカンとした後、にんまりと。何とも男臭い笑い方をして見せて。
「でも爺さん、俺も海…、〜〜〜〜っっ☆」
「ありがとな。」
 余計なことを言いかけた船長さんのお口は、ゾロの大きな手が塞ぎ、お爺さんなりの心遣い、ちゃんと受け取った剣豪さんだったそうである。





            ◇



 酒屋のお爺さんは、結局、ルフィより大きいワインの大樽を2つもと、ラム酒やバーボン、ブランディにコニャックと、逸品ばかりをルフィのゴムゴムの腕に一抱え、快くもプレゼントして下さって。お代は払うと言ったものの、それこそまたまたつむじを曲げて、ホウキを振りかざして追いかけて来そうな勢いだったので。そこはありがたく頂戴して、船まで戻った二人であり、
「凄げぇ〜〜〜。」
「おいおい、ホントにあの爺さんの店だったんかよ?」
 同じ店で突っぱねられたクチの、チョッパーとサンジの二人が、信じられないと驚くのを尻目に。年代もののコニャックを手に取るといつもの定位置、上甲板まで口数少なく上ってた剣豪殿。


  ――― 自分から悪党に成り下がろうってのか? ご苦労なこった。
       海賊なんて外道だ。誰がなるか。

  ――― 別に いーじゃんか。
       もともとお前、悪い賞金稼ぎだって言われてんだから。


 出会いはなかなかに鮮烈で、シェルズタウンの海軍基地の磔場で晒し者になってたのが、世に言う“血に飢えた魔獣”こと、海賊狩りのロロノア=ゾロだった。自分にはどうしたって上り詰めたいとする場所への野望があるから、なりふりになんて構っちゃいられねぇ。そんな風にせいぜい悪党ぶった物言いをしていたが、そんな彼が何で…同じく海賊を敵としている筈の海軍基地でそんな目に遭っていたのかを、町の飯屋のお嬢ちゃんから事細かに聞いて。

  ――― …な〜んだ。

 彼なりの信念とやらを貫くにあたってのモットーは“何がなんでも、なりふり構わず”でありながら。でも なんか、結構真っ直ぐで義に厚い、矜持みたいなものも持ってるみたいだし。だがだが、此処は強い者だけが、生き残れた奴の言い分だけが通る世界であり。それを重々判っているからこそ、肩いからせて、孤高を保ってた男なのかも? そしてその結果、何でかな、間違ったことはしてないってのに、海賊みたいに捕まってたゾロ。本人も気づかぬうちに、やっぱり迷子になってたゾロ。色々と様々に、繊細微妙な事情が混ざってた末の事態だったみたいだが。ルフィが出した結論は、

  ――― あいつ絶対に仲間にしちゃるっ。

 という、至って明快な一言にのみ尽きて。
(笑)

  “やっぱ。見込んだだけのことはあったってか?”

 決して“正義の味方”なんてもんじゃあないけれど、そんなつもりもないんだけれど。何だか気持ちよくないからと、悪党の醜い専横についつい横槍入れてしまう。世の中を眇めた眼差しで斜
ハスに眺めてる振りをして、実は…そんな風に要領の悪い、とことん真っ直ぐ不器用な奴。そんな自分へも腹を立ててのことか、それで眉間にこうまでの深いしわが刻まれたんかもなと、
「? なんだよ?」
 昨日と同じ、自分の正面へとしゃがみ込み、何へかにやにや嬉しそうに笑ってるルフィだと気がついて。液体がすぐさま炎になるよな感触の、結構きついお酒を…ラッパ飲みにて堪能している剣豪さん、

  「これはやんねぇぞ? お前には強すぎる。」
  「おう。そんなもん要らね。」
  「そんなもんて…。」

 その代わり、こんな頼もしくってこんな痛快な剣士が航海の一番最初に手に入ったなんて。

  「やっぱ俺って運が良いよな♪」

 なんて、唐突なことをわくわくと口にし、それはそれは楽しげに笑ってるルフィだったりし。

  「???」

 こちらはさっぱりと、事情が通じていない剣豪さん。でもね、あのね? 大好きな船長がご機嫌なのなら“ま・いっか”って。他愛なくも笑い返していたそうで。
「こらー、そこの二人、荷揚げを手伝えっ!」
「え〜〜〜? 今回は大人しく戻って来れたのにぃ?」
「いちいち手間かけさせなくて当然なの。ご褒美なんてしてあげません。」
 陽気なお声が飛び交う甲板に、少しだけ傾き始めた秋の陽が当たって暖かで。どんなに強くなろうとも、どんなに格が上がろうとも、本質はなかなか変わらないままな、お気楽なご一行。明日はどんな1日になるやら、頭上へと陰を落として飛んでったカモメが1羽。楽しみですねと短く鳴いてた、とある秋の午後のことでした。




  〜Fine〜 06.10.22.〜10.23.


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  *カウンター219,000hit リクエスト
    さらなんよちこ様
      『ルフィ視点で“オレがこいつ(ゾロ)を好きなワケ”』


  *何だか相変わらず、落ち着きのないお話になってしまいましたけれど、
   こんな案配で良かったのでしょうか、よちこ様。
   ゾロの側がも少し細かい何やかやを呑んだ上で
   ルフィと、この仲間という陣営が気に入っているのとは、
   きっと色々、把握の大胆さとかが大きに違うんでしょうが。
   “気に入った、よし、絶対連れてくっ。”
   何でも好きにしてていいとしながらも、その点だけはなかなか譲らない、
   結構我儘なルフィたんだと思います。
   ナミやロビンが離れてった時、追ってまで引き戻しましたが、
   男性陣へは果たしてどうなんでしょうかね?
   ウソップとは、きっちり方つけての決別でしたし…ねぇ?
   (物凄く しんみりしてたけど…。)


 *本誌の原作様は騒動後のエピローグ編へ突入のようで、

  アクアラグナ被害の修復というW7のすっとんぱったんの陰にて、
  何やら別な動きも色々とあったとか。
  そですよね、まずは新しい船がないと出航出来ませんしねぇ。
  それと…凄んごいビックリな事実まで出て来て、
  こんな伏線 有り?と、我が目を疑ってしまいましたです。

  あああ、そこまでアニメは続いてくれるのでしょうか。
  あんなややこしいお引っ越しなんてしないでよね〜〜〜。
(苦笑)

ご感想などはこちらへvv**

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